CBDと法規制――海外土産に潜むリスク
NECSA 海外土産に潜むリスク 2025/9/5(金) 第1号
近年、「CBD(カンナビジオール)」という言葉を耳にする機会が増えました。 リラックスや睡眠サポートなどをうたう製品が世界中で販売され、健康志向の消費者を中心に人気を集めています。 しかし一方で、日本国内でCBDを扱う際には非常に厳しいルールが存在し、その理解不足からトラブルに発展するケースも出てきています。
2025年9月、大手飲料メーカー・サントリーホールディングスの新浪剛史前会長が警察の捜査対象となったニュースは、まさにその象徴的な出来事でした。 新浪氏は海外滞在中に知人からCBD製品を勧められ、「合法で安全」と信じて購入。 しかし、その製品には違法成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が混入していた可能性が指摘され、自宅が家宅捜索を受ける事態に発展しました。 幸いにも違法物質は見つからず、尿検査も陰性だったため刑事責任は問われませんでしたが、結果として会長職を辞任する事態に至ったのです。
この事件は「CBD=違法」という誤解を招きかねません。 実際にはCBD自体は日本でも利用可能です。 しかし、問題は「THCが含まれていないこと」が絶対条件だという点です。
欧米では「0.2%未満」や「0.3%未満」であれば合法とされる国が多い一方、 日本では「検出されないこと」、つまり限りなくゼロでなければならないという極めて厳格な基準が適用されます。 海外で合法的に売られているCBD製品でも、日本に持ち込んだ瞬間に違法品となる可能性があるのです。
ここで注意していただきたいのは「海外旅行のお土産」の落とし穴です。 たとえば欧米の空港や現地スーパーにはCBD入りのお菓子やオイルが普通に並んでいます。
好奇心から購入し、日本に持ち帰ったとしましょう。 現地では合法品でも、日本の税関で検査を受ければ「THCが含まれている可能性あり」と判断され、没収や摘発につながりかねません。 悪意がなくても「知らなかった」では済まされないのが日本の薬物規制の厳しさです。
さらに、万が一社内でCBDを含む違法製品を持ち込んだり使用したりすれば、本人だけでなく会社全体の信用問題に直結します。 近年はSNSでの拡散も早く、ひとたび「社員が違法サプリを使用」と報じられれば、取引先や顧客からの信頼を失いかねません。 今回のサントリーの事例はトップ経営者という特別なケースですが、一般社員であっても会社のブランドにダメージを与えるリスクは同じです。
したがって、社員の皆さまにお願いしたいのは 「CBD製品を海外で安易に購入しない」 「土産物として日本に持ち込まない」 ことです。
もし健康食品やサプリを試したい場合は、日本国内で正規に流通している製品を選ぶのが安全です。 国内製品は厚生労働省の基準に基づき、THCが検出されないことを確認したうえで販売されています。
また、業務上でCBDや健康食品に関する話題に触れる機会があれば、 「日本と海外ではルールが違う」という視点を常に持つようにしてください。 特に海外との取引や出張が多い部署では、無意識のうちにリスクを抱え込む可能性があります。
最後に、CBDそのものは研究途上の素材であり、医療やウェルネス分野での可能性も広がっています。 しかし、ルールを守らなければ企業も個人も一瞬で信用を失うリスクがあることを、今回のニュースは私たちに強く教えてくれました。
「海外では合法でも、日本では違法になり得る」
この認識を全社員で共有し、会社と自分自身を守る行動を徹底していきましょう。
